木の高さを大幅に低くすると木は傷みます(病みます)
大きな枝を落とすことによる影響
樹木の幹を大幅に切り詰めて高さを低くすると樹木の調子が悪くなるということがよく起きます。
もっとも、小さい樹木であれば問題ありません。目安としては、幹の太さが直径10~20㎝程度まで育った樹木の場合です。
今回は、幹や太い枝を切り落とすことによる影響について解説します。
樹木がいつの間にか大きくなりすぎてしまい、手に負えない高さに成長してしまうということがあります。そういうケースでは、一遍に大幅な幹や枝の切詰め作業をせざるを得なくなります。
樹木にとって生長の糧、生産工場ともいえるのが葉っぱです。
第一に、無数の葉っぱを保持している幹や枝を大部分失ってしまうということは、それだけで大きな損失となり、樹体にとってダメージが大きいということはもちろんですが、それだけではありません。
第二に、その時にできる大きな傷口は、細菌やバクテリアの進入口となり、後に様々な病気を引き起こす可能性があります。
冒頭にも書いた通り、細い幹や枝であれば、第一のダメージのみで済むことが多いですが、幹や枝の太さが直径10㎝を超えてくると、第二のダメージを受けてしまう可能性が高まります。
剪定の際の切り口は傷口
一般にはあまり意識されていないことかもしれませんが、樹木剪定の際にできる切り口はれっきとした傷口であり、動物の傷と同じように、感染症のように命をも脅かす病を引き起こすことがあるのです。
ですから、実は、樹木にできた切り口には、そこに塗るお薬が売られています。歯磨き粉のようなチューブ状の物や小さいバケツ状の容器に入っていて、ペースト状の薬品です。
ホームセンターでも手に入る最も有名なものではトップジンMペーストというものがあります。
その他にも、ラックバルサン、カットパスター、カルスメイトなどなどいくつもの商品があります。
樹木癒合剤は効果があるか?
私の知る限り、この塗布剤の効果については、絶対効果があるとは言えないようです。これについては専門家の間でも意見の分かれるところで、そもそも樹木は自衛することができるので、塗る必要はないという人もいます。
人の体を研究する医学の世界でも、未だに多くのことがわかっておらず、一般的に信じられていた説が、ある日を境に180度ひっくり返るということも結構起こりますよね。樹木の世界でも同じですし、そもそも樹木の体を研究する樹木医学の世界は、人の医学よりも多くのことが未解明です。今話している剪定の際の切り口が、その後の樹木の健康にどう影響するのかということは、結局何の結論にも至っていない状態なので、塗布剤についても試行錯誤中という風に捉えると良いかと思います。塗布剤を信じるか信じないかはあなた次第ということになります。
要は、これらのお薬は絶対的に効果を発揮するものではないので、これらを塗って安心することはできません。
大きな剪定の際に気をつけなければいけないこと
お薬が効くかどうかわからないならどうすればいいか?
できることと言えば、時期を少し選んでやることが大切です。できるだけ剪定適期に切ってやることで樹木に対するダメージが低減されます。
他には、できるだけ切れる刃物を使い、切り口はきれいにカットすることを心掛けると良いです。人間の傷口で比べた時、よく切れる清潔な刃物でできた傷口と不潔で切れ味の悪い刃物でできた傷口では、治り方のスピードが違ってきます。当然、後者の場合は、治りが遅いだけでなく、感染症の心配も出てきます。それと同じで、理想は樹木の傷口もできるだけ綺麗にすることがその後の回復に影響を与えます。
まとめ
これは元も子もない話になりますが、木を弱らせたくないと考えるなら無茶な剪定はしないことが一番です。無茶な剪定とは、大きな切り口を伴う剪定や枝葉をほとんどカットして丸坊主にしてしまうようなやり方です。
でも、大きくなっちゃたものは何とかしなければいけないという事態になってしまうこともあります。無茶な切り方をせざるを得ない状況になってしまったら、木が弱るのはある程度仕方ないことと考え、切る時期を選び、切り口はきれいにすることを心掛けると良いです。また、お好みでペースト薬を塗布してください。
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