庭は生みの親より育ての親をよく選べ
現代の日本の住宅事情を考えると、一戸建てにお住まいの方でも「ウチは木が何本か生えているだけで、庭ってほどのものはないわよ」という方も多いですし、庭はあるけど、「特にこだわったわけじゃなく、家を建てたついでに付けてもらった程度です」というようなケースもあるかもしれません。
これからお話しすることは、そういった方にはあまりピンと来ないかもしれない「庭をオーダーメイドで多少なりともこだわってつくった」という方に向けたお話です。そして、「これから素敵な庭をつくる予定なんです」という方にも、よく考えてほしいことです。庭というものを理解する上で無駄ではないので、よろしければどなたも読み進めてみてくださいね。
では本題に入ります。突然ですが、子どもというのは、愛情や社会性、目の前に広がる世界の事を教えるという教育によってはじめて人となりますよね。社会的な成功云々は運に大きく左右されるのでその点は置いておくとして、生まれより、何を学んできたかの方が人として重要なことが多いです。
実は、庭にも似たようなことがあてはまると考えています。生みの親より育ての親。
つまり、誰がつくったかよりも誰がお世話していくのかがかなり重要ということです。
家にこだわりのある方なら、庭もある程度きれいにしたいと思うものです。そこで作家に依頼したり、イニシャルコストを大きくかけてつくったりすることがあります。それ自体は良いのですが、その後のメンテナンスの事は漠然としています。庭を所有したことがないと、この点については中々想像しづらいことかもしれません。
でも、つくりたての庭というのは、完成しているように見えてもまだまだ子供であり、人生に例えるならスタートラインに立ったに過ぎません。まだ何も始まっていないようなものです。ここからが庭にとっての肝なんですね。庭は育てるものなのです。
要するに、庭が素晴らしく輝き続けられるかどうかは、その後の手入れにかかっているということです。一応断っておくと、石やコンクリートなどの無機物(構造物)だけの庭は別です。もちろん、植物が使われている庭の話です。
庭が良い空間であり続けるには、なぜ手入れが重要なのか?
ここまでの話から何となくわかるかもしれませんが、植物は生き物です。人間の目にはゆっくり過ぎてあまり認識できないかもしれませんが、激しく変化していくからです。
手入れは、「いかに美しく剪定していくか」という前提のもと、庭のバランスとしては、どの樹木(植物)をどの程度の大きさにしておくのか。本来はボリュームを持たせたい植物が小さいままの時はどうするのか。その逆の場合の対処の仕方など、庭の形をどう導くかは世話役(手入れ業者)にかかっています。
完成時にどんなに素晴らしい庭だったとしても、月日の経過の前では無力です。適切に導いていく必要があります。
例えば、「私の実家は金持ちです。いい家に生まれてよかったです。だから、自分は何の努力もしなくて大丈夫なんです」と言っている人がいたらどうでしょう?「はあ、それは何よりです」としかかける言葉が見つかりませんね。それと同じようなことで、よいコンディションであり続けるためには、ある程度の努力と言いますか、向上するための攻めの姿勢が必要です。
何となく伝わりましたでしょうか?
ここまでの話を聞いて、「我が家は、庭をつくってもらったところに、手入れも頼んでるから大丈夫!」、「生みの親が育てているんだから何の問題もない」と思った方がいるかもしれません。でも、それは安心できることではありません。なぜなら、庭づくりが得意な業者が、庭の手入れも得意で丁寧にやってくれるとは限らないからです。
考えてみてほしいのは、例えば、年間を通して多くの庭を造っている業者があるとして、毎年々々増え続ける庭を、限られた人員で適正に手入れしていくことができるでしょうか?必ずどこかで、手入れにまで手が回らないという限界が来ます。そうなった時、業者はどうするか?
そこで庭づくりはやめて、手入れに専念するというのはまずありません。本来かかるはずの頻度や手間を減らしたり、手入れは下請け業者に流したり、大切なお客さんに絞って後は切り捨てる、といった手段で適正な手入れができなくなります。
あるいは、庭をつくるのは積極的だけど、手入れは消極的な業者、また、そもそもつくるのは得意だけど、手入れは下手な業者というのも普通にあります。
このように書くと、同業者ディスりのように聞こえるかもしれませんが、そうではなく、これが実情です。造園工事がよくできて、後々のアフターケアも万全というのは、非常に稀ですので、それぞれで良い業者を選別するのが賢い方法です。
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